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名古屋高等裁判所 昭和49年(ラ)101号 決定

申立人 加藤才松

主文

本件を津地方裁判所松阪支部へ移送する。

理由

本件記録によれば、申立人が津地方裁判所松阪支部裁判官に宛てた異議申立書と題する書面を同庁に提出したところ、同裁判所は同庁昭和四九年(ヌ)第一〇号不動産競売申立事件について同裁判所が同年七月九日になした強制競売開始決定に対する即時抗告申立と解し当庁に記録送付をしたことが明らかである。ところで、右書面の表題・名宛人・内容からすれば、申立人は右強制競売開始決定に対する民事訴訟法第五四四条に基く異議申立をしたものとみるべきであって、競売開始決定に対しては右法条に基く異議申立は許されないと解したにもせよこれを書面の表題・名宛人・内容の記載をすべて誤記とみなし抗告申立書が提出されたものとして取扱った同裁判所の措置は適切とはいえない。

しかしながら、同裁判所の前記措置により当裁判所に記録送付がされた以上、当裁判所としては、前記競売開始決定に対する異議申立が当裁判所に対してなされた場合に準じ、当該申立に対する裁判をなさざるを得ないところ、右異議申立事件の管轄裁判所は執行裁判所たる津地方裁判所松阪支部であるから、本件を同裁判所に移送することとし主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 綿引末男 裁判官 山内茂克 清水信之)

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